|
|
その1 その2 その3 その4
本で調べて、それらしい海岸まで歩いて行きました。
「ここ か?」
「ここ や。」
目の前には、白い砂と青い海。
誰も居ません。
今思うと、膝から腰くらいのサイズの波がただザーザーと打ち寄せていただけです。
休みなくただ波だけが。
「行くで〜」
「よっしゃ。 行こ。」
5人でサーフボード4枚ですから、一人は必ず浜に居ます。
だから、海の家が無くても荷物の心配はありません。
「え〜 こんなんで沖へいけるか〜? ゲボゲボッ。」
そうです。パドリングが出来ません。
と言うより、サーフボードに腹ばいになって乗っていることが出来ません。
当然、手で水をかくことが出来ません。
波をかぶる度にサーフボードがあちこちで飛び跳ねています。
サーフィン教本を読み、適度な室内トレーニングと、そして完璧なイメージトレーニングは出来ていたはずでした・・・。
「ハァハァ。 どうする? ハァハァ。」
「ハァハァ。 どうしよぅ ハァハァ。」
作戦会議。
「ハァハァ。 どうする? ハァハァ。」
「ハァハァ。 どうしよぅ ハァハァ。」
また作戦会議。
どうにも出来ません。
なぁんにもできません。
「ハァハァ。 なあ〜。サーフィンってホントに出来るようになるんやろか。 ハァハァ」
「・・・」
まずい。金を掛けて揃えたサーフボードが無駄になるかも・・・。 必死です。
「ハァハァ。 ハァハァ。」
「ハァハァ。 ハァハァ。 グホッ。」
次の日も。 波の様子は全く変わりません。
「ハァハァ。 ハァハァ。」
「ハァハァ。 ハァハァ。 ゲホッ。」
次の日も。 波の様子は変わる気配もありません。
「ウグッ 水飲んだ! ゲボッ。」
「ハァハァ。 ハァハァ。」
1週間後。 波はいつもと同じです。
「おぉっ! 今見た? ちょっと立ったで〜っ!」
誰かがほんの数秒サーフボードの上に立ちました。
これがgeorg含めた5人の若者のサーフィンの始まりでしたとさ。
その1 その2 その3 その4
|